Must not say.
私が声をかけると

俯いたままの彼女は数学の問題用紙を机の上に乗せた。



「ここ、教えて欲しいんですけど・・・」


その問題で満点を逃したのだろうか。

×がついたのはそこだけで、その他の問題は全て○だった。



「あっ、これは・・・

 こうして、こうなるから・・・」


説明下手な私。


わかりやすく解説したつもりだけど・・・どうだろう。



「あぁ、そういうことだったんですか!」


・・・理解してくれたようだ。



「ありがとうございました」


彼女はお礼の言葉と笑顔を残して席へ戻っていった。




それにしても勉強熱心だなぁ、彼女。


今も参考書やノートを開いて勉強をしている。


私なんて授業中も休み時間も

空を眺めてばかりいるのに・・・。


なぜか彼女に申し訳ない気がしてきた。
< 23 / 37 >

この作品をシェア

pagetop