Must not say.
「どうしたの? 暗い顔して・・・」


「そ、そんなことないよ」


無理に笑顔を作ってみても彼はすぐ見透かしてしまう。


私のやることなんてきっと全部お見通しなんだろう。



・・・――――――


私には、人の願いが見える。



『両想いになれますように』とか、『あの仕事に就けますように』だとか。



人間は、欲張りな生き物。

願いが1つという人は少ない。



だから私には、心の中で一番強い願望だけが見える。




数学の問題を聞いてきた彼女の願いは、“両親を安心させられるように”だった。


勉強のことも、両親のこともきちんと考えている彼女と比べて、私はどうなんだろう。


だた毎日学校に通って
ろくに授業も聞かず、家に帰る。


でも・・・・・・それで、いいんだ。




私は、自分の宿命と戦うためだけに生まれてきた。


私には未来という言葉など、存在しないのだから・・・。
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