Must not say.
昼休みが終わりに近付く中、

私は急いで屋上へと向かった。



彼はいつもと同じ表情で、

何事もなかったかのような素振りを見せている。



こんなに近くに居るのに・・・

何も聞けない。


怖いだとか、そういうことじゃないんだけれど・・・。




「何か、聞きたいことがあるんでしょ?」


整った顔を覗かせる彼。



私はすぐ顔に出てしまうタイプなのだろうか。


彼は私を見つめたまま動かない。



「図星・・・?」



こんな状態じゃ嘘を付くこともできず、

私はコクリと頷いた。



「あっ、あれ・・・・・・だよ」


「・・・あれ?」



彼は何を聞かれているのか

全く理解できていないようだ。
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