Must not say.
「ギキィー・・・」



古びた扉。



耳を塞ぎたくなるような音を聞き流し、
手にグッと力を込める。



途端にふわっと春風が私を包む。



眺めの良いこの屋上は、
私が唯一安らげる場所。





しばらく景色を眺めていると、
扉の開く音がした。


振り向かなくてもわかる。




「おはよ」


そう言って彼は顔を覗かせた。





ほら、やっぱり・・・。




ここは彼と私だけの特等席みたいなもの。

他の誰かが入ってくることは、


決してない。
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