Colorful Memory
私は、あなたを愛してないの…。

私が愛してるのは、架衣であって“架衣”じゃない。



私は、ゆっくりと“架衣”の方に振り向いた。

それに誘われるように、“架衣”も此方を向く。


色鮮やかな花をバックに、私達は向かい合った。
どちらも何も言うこともなく。

でも、目をそらすこともしなくて。


「“架衣”…」

私は目の前にいる“架衣”に、小さく呼び掛ける。

声が聞こえたかどうかは分からない。
だけどきっと、唇の動きで気づいてる。


私の一挙一動に注目している“架衣”を見て、私は微かに笑う。
そういう仕草は、架衣も“架衣”も変わらない。

決心した私には、それが妙に愛しく思えた。

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