Colorful Memory

名前

その背に。


「―――遙」


私の、名前が降りかかった。

私はそれに、体全体を勢いよく振り向かせる。


「架衣っ!!?」

名前。私のっ!

“架衣”には最後まで教えなかった、私の名前…!


架衣の顔で。
架衣の声で。

名前を呼ばれて、堪えられる自信がなかった。

だから…“架衣”には教えなかった名前。



その名前を知ってるのはっ…!

「ただいま…遙」

「架衣っ…!」


―――“架衣”じゃない…架衣だけ。


ボロボロと涙が溢れる。
でも、今度の涙は悲しみの涙じゃない。


「架、衣ぃ…っ」


――――喜びの方の涙

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