Jelly Beans
「ごめん、友達待たせてるから。」
「え、彼氏?」
「いや、友達だけど。」
「そう、忙しいのにごめんね。」
「いや、別にいいけど。
忘れててごめん。
さよなら、村主君」
一刻も早くその場を立ち去りたい、
脳裏で赤信号が点滅していた。
体中の神経が沸き立つような感覚
あたしは、ホントに忘れていたんだ。
いや、忘れたかったんだと思う。
でも、思い出してしまった。
彼に会った時の違和感と、
眼鏡の奥の目つきは
忘れられるわけない。
名前言われて分からなかったのは
あたしはあいつと話したことがないから
学校にもあまり来ていなかった。
正確に言うと来ていても教室にはいなかった。
いつも蔭からあたしを見つめ妄想していた男。
村主 建、あいつはスト-カ-だった。