SeaLover
歩恋
−次の日−
今日はまたいつもながらの一日。
塾はないし部活の外周はキツかったけど私の機嫌はかなりよかった。
「栞?何ニヤけてんの?」
隣で空が気味悪そうな顔をして私に聞いた。
「別にぃ〜?」
「いや絶対なんか良い事あったでしょ」
よくわかったなぁ〜空。
「知りたい?」
「別に」
ひどい!!
言いたかったのに!!
聞いてよね!!
私はぶすっとそっぽを向いた。
「あ〜はいはい、聞きますよ、何があったの?」
よくぞ聞いてくれた!
「昨日塾でね!雄斗が『お前は笑ってれば?』って言ってくれたの!」
「へぇ〜!良かったじゃん!」
私はこんなにこんなに喜んでいるけど雄斗にしてみればたいしたことないのかもしれない。
でも…
でもあの言葉は反則だよ〜!!
いつもながら雄斗の事ばかり考えている内に一日が過ぎた。
塾の日が来る度私の気持ちは舞い上がる。
だって雄斗に会えれば嬉しいし話せれば楽しい。
いつもいつもこんな毎日を楽しんでた。
満足してた。
でもやっぱり『友達』と言う壁は高くて厚くて…
距離を感じてしまう。
だから雄斗から気付いてほしいな〜…なんて自分に都合のいい考えばかり浮かぶ。
でももし雄斗が私の気持ちに気付いたら…
…どうなるのかな?
私はただ黙り込んで雄斗のアドレスを見た。
会いたいなぁ…
携帯を閉じ窓の外に目を向けた。
早く塾の日が来ないかなぁ…
こんな風にいつも雄斗の事にひたっている私にあるとき悲しいお知らせが襲来。
いつもどうり塾で空と話していると…
「栞…?あのね…」
紗綵が口ごもりながら話しかけて来た。
「はぁい?」
「あっ…と…ゴメン、空借りるね」
「ん?私?」
空と紗綵は私から少し距離を置いた所で話し始めた。
なんで一人にすんだよ〜
しばらくすると二人は戻って来た。
「栞?…あの…さ、あっちで話そうか?」
空と紗綵に囲まれる。
「…?えっ?ここでも…」
ここは三人の机の近くだしストーブ近いし…
「いいから…栞行こう?」
「早く…って…あー…」