SeaLover

空の見ている方を見ると


この塾ではない女子に送られて来て幸せそうに笑っている雄斗が目に入った。

「………」

「……栞?」

雄斗は顔を赤らめ私には見せた事もない笑顔を向けている。

「……栞ってば!」

その女の子も幸せそうに笑っていた。

…色白で優しそうで可愛い女の子…

私なんかより全然お似合いで…

「……栞!!」

大声を出した紗綵にゆっくり振り返った。

私は穏やかに軽く笑い、

「あ…ははっ!…知ってたよ?」

と言った。

そう、知ってたじゃないか。

雄斗には彼女がいるって確信してた。

だってあんなにカッコイイんだから。

「知ってた…よ」

「…っ栞…」

涙が溢れて来る。

「でも…でも雄斗に彼女がいるって思ってても…」

「栞…もういいよ、大丈夫だから」

空が抱き着いて来た。

「好きだったんだもん…」

大粒の涙が溢れる。

空と紗綵以外の友達も駆け寄って来てくれた。

「どうしたの?!栞…泣かないで!」

「大丈夫かよ岡本!」

教室が私のせいで騒がしくなる。

そして雄斗が入って来た。

私は涙目のまま雄斗と目があった。

「………」

雄斗は何も言わず私から目をそらした。

…なんで…目そらすの?

時間が近付きみんな机についた。

私も涙を拭い机についた。
       ・・・ 
後ろには大好きだった雄斗。

授業が始まっても私は一度も後ろを振り向かなかった。

そして半分が過ぎると…

後ろから手紙がふって来た。

内容は…

『さっきなんで泣いてたの?』

雄斗のせいですよコノヤロー。

私は手紙をシカトした。

するとまた手紙が振って来る。

『シカトすんな、返事よこせ』

うるさいですよコノヤロー。

再びシカト。

そしてまた手紙が来る。

『なんでいつもみたいに話しかけてこないの?次シカトしたら泣く(笑)』

泣く(笑)って…

私はしぶしぶノートの端っこを破り返事を書いた。

『色〜んな女の子に甘い事言ってるとあの子に嫌われちゃいますよ?』

自分で書いたのにまた涙が溢れる。

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