SeaLover

私は雄斗を見ないように後ろに手紙を投げた。

しばらく待っても返事は来なかった。

…あ〜もう、ドリルが霞んで見えない。

悲しい気持ちのまま時間は過ぎて行った。

帰りの時間になると空と紗綵がやってきた。

「あ…っと、栞?」

「はぁい?」

私はいつもどうり明るく返答した。

「あの…さ」

紗綵が何か話そうとしたのを遮り私は言った。

「二人とも…ありがとね!」

「へ?」

「あんなにお似合いなカップルには敵わないっつーの!今回も一目惚れで終わり!」

…涙は出ない。

「栞…」

…もう出ない。

「なぁに?」

…さっきかれるほど泣いたもの。

「本当に…」

…だからもう出ない。

「本当だよ〜雄斗は友達だし!」

…悲しいのにね…

それから私は塾では一度も泣かなかった。

空と紗綵が何度も、

『無理しないで』

って言って来た。

…無理なんてしてない。

『これ以上抱え込まないで』

…これ以上?

…私はこれ以上なんてないくらい考えこんでるよ?

でも考えても考えてもいい結果なんてないの。

人の恋は邪魔出来ない。

だから雄斗とのこれからなんてないの。

家に帰るとかれたはずの涙がまた溢れ出す。

本当涙って無限大だね…

一人、部屋で声を抑え泣いた。

こんな悲しい恋も…

相手が気になって眠れない恋も…

会う度緊張して鼓動が早まる恋も…

私は知らなかった。

そして今回知った。

…大丈夫、また私はすぐに立ち直れる。

今までそうだったじゃない。

だから絶対大丈夫。

私は涙を拭いた。

−次の日−

隣の席の男子が話しかけてきた。

「岡本…?お前なんかあったの?」

「ん?別にな〜んも」

「いや、目腫れてるからさ」

朝から色んな人に言われた。

そんなに酷い顔してた?

トイレに行って鏡をみると…

まぁそれなりに酷い顔ですな…

昨日は泣き止んだかと思ったらまた涙が溢れ…

の繰り返し。

だから今日こんな顔になっている。

それに…なんか眠い…

今日授業中ヤバイかもしんない。

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