唄われる愛よ、僕の手を握れ。
「平安時代のぉー貴族たちはぁー」
先生はうすい頭を拭いながら、すらすらと語っていく。
夏はきっと、うすい頭には大敵だ。
頭を眺めて、そんな事を思う。
受け取った紙に何を書こうか、頭を抱えた。
『キス、はじめて?』
僕は再び千尋に渡す。
『はじめてだよ』
『ほんと?俺もはじめて』
『どうしたの笑』
千尋の小さな字が返ってくる。
何か言葉を伝えたい。あれからずっと言葉が詰まっている。