わけがわからない! いったい何がどうなっているっていうの?

 まさか静国に来て早々こんなことになるなんてどうかしてるわよ! っていうか、私が何をしたっていうわけ?

 
 でも、確実に言えることがひとつ。このままだと良くて重症、悪くて死亡ってことよ! これがこの子の独断なのか静国が関わってんのかは分からないけど、分かっててやってんなら、相当性悪な国ね! 戦争しかけたいのかしら。それとも、牽制のつもり?

 ……でも、どっちも違うような気がする。
 なんだか、私個人へ当てられているような気がするのは気のせいかしら。


 どちらにせよ、このままじゃ埒が明かない。動きもスピードも力も正確さもこの子が全て上回ってる。逃げることで精一杯だけど、このまま逃げ続けるのは不可能だわ。私の体力が持たないもの。


 彼女の目的は何にせよ、今はこの場をどうにか乗り切らなくては。




 橙妃は必死に急所をかばうように李黄の攻撃を回避しながら、このじょうきょうをどうにかしようと頭をフル回転させる。人を呼ぼうとすると、喉を狙いに来るし、扉に向かって逃げ出そうとすれば、到達する前に防がれる。
 李黄は『人を呼ばれたくもないし、逃げ出されたくもない』ようだ。


 狭いけど、この際仕方ないわね。

 これは不可抗力。仕方ないのよ、と橙妃は覚悟を決める。

 ふう、と一つ息をついた橙妃は胸に下げている玉に向ける。彼女は彼女の玉の持つ力を使ってこの戦闘に挑もうとしていた。

「ねえ、ひとつ言っておくわ。先に仕掛けたのはそっちなんだから、私を怨まないでよね?」


 その言葉を吟味するように、李黄は橙妃をじっと見つめる。そして、その言葉の意図することに気付いたのか、すぐに防御の態勢をとり、橙妃から極力距離をとるように後ずさった。
 次の瞬間、部屋の中から大きな爆音が響いた。それと同時に部屋の扉が吹き飛び、窓ガラスが粉ごなに砕け散る。


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