あはは、と軽く笑いながら結構重大なことを言ってのけるリョクユ。その隣で「そうそう。ホント容赦って言葉を知らないよねー」とリョクユに同意する李黄。
 そんな二人に一応笑顔を向けているものの、橙妃は自分の顔の筋肉が引き攣っているのを感じる。いや、多分笑えていないだろう。


「あははー、そうなのー。って、笑い事じゃなくて! 私、この部屋を威力は抑えたとはいえ爆破させたのよ!? 李黄や他の人に怪我は……」

「ノープロブレム! 今日、この部屋周辺に人はいないから。私が部屋に入るのを見計らって、リョクユが予め厄介払いさせておいたんだ。そうじゃないと大変なことになっちゃうのは分かりきってるし」

 李黄は被害を心配する橙妃の唇に人差し指を当て言う。その言葉の通り、人の気配はないし、李黄の体にも傷ひとつ見当たらない。


「部屋も心配ありません。王の許可は取っています。外国の姫が嫁入りした国の皇子に殺された、なんてなっちゃ迷惑極まりないですからね。
 でも、橙妃様も玉を使って応戦できることが証明されましたし、これでそんなとんでもない事件が起こる可能性は大分低くなりました。良かったですね」

 もちろん、「王」というのは静国・朱国のお二人のことをさしますよ。と笑うリョクユ。
 つまり、両国ぐるみのテストだったというわけだ。橙妃は怒りよりも先に被害がなかったという事実に、ほっとして腰が抜かし座り込んだ。
 そんな橙妃に首謀者二人はそれぞれ手を差し伸べながら声を揃えてこう告げる。



「御結婚おめでとうございます。そしてようこそ、静国へ!」






一色・完
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