SWIMMING*SCHOOL

他者から見ればその答えは明瞭であった。


「準備体操はした?」


「え、あ…えっと」


していない。


「まいいや。俺まだだから、一緒にしよう」


梶原コーチは私の返答を待たずそう言い、

壁に立て掛けてある水を弾く素材でできたざらざらのマットを、プールサイドの床に敷いた。


特に号令をかけるわけでもなく、私をちろちろ窺いながら体操をするコーチ。


私はそれを真似るだけだった。


「金曜日には今日練習することを決めてたのに、アクアビクスから場所借りたのは今だったんですね」


何か話さなきゃと思い、浮かんだたわいもない話題。


でも単純に、素朴な疑問でもあった。

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