SWIMMING*SCHOOL

「いや、水中ダンスとか、水中ウォーキングとか、水球とかさ。
アクアビクスでもこんなに実施してるとか知らなかったんだよ。
ましてやこんなに人がいるなんて。
ひとコースくらいは余ってるだろうって思っててさ」


コーチは伸脚をしながら笑う。


「私も今日個別指導だなんて知りませんでした…」


勘違いのせいで心の準備ができなかった八つ当たりに、呟いてみた。


梶原コーチの耳に届くか届かないか程度の音量で。


「そうだよ、今日俺タダ働きだよ?」


…きちんと届いていました。


「な、なんでタダ働きの個別指導なんてセッティングしたんですか…?
こんな…私だけのために…っ」

< 54 / 113 >

この作品をシェア

pagetop