SWIMMING*SCHOOL

私はそれを、梶原コーチの顔を上げていいよのサインだと解釈し、曲げていた膝を伸ばし、水面から顔を出した。


「思いっきり閉じてんじゃん」


至当の指摘だよね。


「よし、じゃあもう一度やろう。次目開けなかったらキスするから」


…!?

今すごい言葉が聞こえてきたような…。


…キス?


「きっ…キスッ!?」


「うん。だんだん顔近づけるから早く目開けなきゃ駄目だよ」


梶原コーチは私の頭に手を添えて、「じゃあ息吸って」と言う。


私の頭を水の中にぶち込む気だ。


「待っ…準備が!」


「目を開けるのに準備はいらない」


せーのっという声と共に私の頭は水面下に押し込まれた。

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