SWIMMING*SCHOOL

それでも私の体が水の抵抗を受けて失速していくのは同じで、もうすぐ止まりそうだった。


ああ、止まっちゃう。
もどかしい。バタ足したい。バタ足したら進めるのに。


そう思った刹那、私の視界の上の方から人の足が近づいてくるのが見えた。


近づいてくるといっても、その足は待ってくれているだけで、私が近づいているのだけども。


そこで待ってくれている人なんて、一人しかあり得ない。


梶原コーチ…


もうすぐ。もうすぐなんだ。
あとちょっとで梶原コーチに届くのに。


私の体はすでに止まっている状態に等しかった。


息も苦しくなってきたそのとき。


突然、私の体は勢い良くグッと前に進んだ。

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