SWIMMING*SCHOOL

優しく私を座らせてから、コーチは自分の手の甲を鼻の頭につけて少し横を向いた。


「分かりにくい!本気にしたじゃん俺」


…照れてる?
…照れてる!


「自意識過剰ってやつだなこれ。恥ずかし」


「いやいや、冗談言った私が悪いんですから」


私は微笑んでいた。


今日一日で仲良くなったこの関係が壊れるかと思った。


「そうだよな!上原さんが悪い」


気まずくなるかと思った。


「じゃあ本当のお願い言いますね」


もう話もできなくなるかと思った。


「次こそ冗談じゃないんだな?」


「はい、もちろん」


本当に、よかった…!


そのとき私は改めて学んだ。




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