琥珀
「瑠愛達!
体育行こうぜー」
今話しかけてきた、椿(ツバキ)。
こんな喋り方してるけど、一応女だ。
…自分のこと俺って言うけどね。
前までは直したらって言ってたけど、もう無駄だって分かったから言わないよ。
一応あたしの言葉だから直そうとはしてたんだよね。
なんて考えていると、波南(ハナ)が寄ってきた。
「琉希様」
小さい声であたしを呼ぶ波南。
「さっき…」
「分かってる。
今は言うな。瑠愛が怪しむ。」
「…はい」
不安そうに返事をする波南。
波南が言いたいのは、さっきの風のことだろう。
椿もさっきからこっちを見てくる。
だから
“気にするな。今は瑠愛に気づかれないように気をつけろ”
と目で言った。