バレンタイン・キッス
「年明けに、部活で顔を合わせた川村はいつもと変わらなかった」

変わらずふざけた感じで、私に1on1を申し込んできた。何事もなかったかのように。
いつも通りに振る舞ってきた。

だから、何も言えなかった。


「川村、普通にしてたけどきっと傷ついた」


私が、傷つけた。
もっと責めてくれればいいのに、お前の顔なんか見たくないって無視してくれれば良いのに。
優しい川村は川村のままだった。

それが私には1番きつかった。


「私が、いけないの。もっと他にちゃんと方法があったはずなのに。何もできなくて、何も言えなくて。一年たった今でもあのときはごめんねって言えてない。

もう今更、好きだなんて言えない」
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