バレンタイン・キッス

「由香子は由香子なりに一人で頑張ったんだねぇ」

うん、頑張った。
川村が何もなかったようにするから、私もそうするしかないって。
今まで通り、仲のいいチームメイトとしてふざけ合って今日も一日お疲れ様っていうの。

それが好きだった人に対して、どれだけ辛い対応か痛いほどわかる。

川村はいつだって優しいの。


「ね、バレンタインに告白しちゃおうよ」


名案じゃない?みたいな感じで場の空気が変わるほどに軽くいう千夏を凝視した。

たった今、好きなんて言えないよって話をしてたんだけど、聞いてくれてた?


「良いタイミングだと思わない?一緒にチョコ作ってさ!川村に渡そうよ!」
「むりむりっ。そんなことしてまた川村に気遣わせたくないし、へんな空気になりたくない!!」
「わかんないじゃん!」
「わかる!それに川村はもう私のことなんとも思ってないよ!」
「だったら尚更、思いを伝えるべきなんじゃないの?!」

千夏とギャーギャー騒ぎながら、終わらない問題をひたすらに言い合った。
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