バレンタイン・キッス
いつの間にか出来上がってた"みんなの川村くん"

なんとなく恋心というカテゴリーにしてはいけないと思った一年の夏頃。

大切な友達関係をずっと築きたかった私にとっては彼を憧れの人として見るようにした。

バスケが好きな人。
同じ漫画を読んでる人。
好きなアーティストが一緒な人。

親友の立場になれば変わらず隣にいられると思った。

だから私は自分の思いにフタをしたの。
自分でも気づかないように、そっと、静かに。


「…由香子なんか私に隠し事してるでしょ?」
「なんで?してないよ?」
「由香子が目を逸らして話すときは嘘をついてるとき〜」

ぎくりと身体が反応する。

隣に座る千夏は困ったような顔をして私の頬をつねった。

「話したくないなら良いけど、抱え込んでると爆発しちゃうよ」
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