バレンタイン・キッス
うりゃうりゃ〜と言いながら、私の両頬を伸ばしては縮めて不細工な顔を作り上げた。

そんな千夏を前にしたら、隠し事なんてできないなっと思った。

きっと千夏には全部お見通しだったのかもしれない。

そう思ったら、みんなの川村くんの話をしようと思った。
誰にも話ことのない、私と川村の話。


「…あのね」
「んー?」


「…私、去年の大晦日に、川村のこと振っちゃってるの…」


忘れもしない。
ちょうど一年前の大晦日。

私と川村の最悪な思い出。

親友だと思っていた人からの突然の告白だった。
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