バレンタイン・キッス
「…川村は、本当に一緒にいて気が楽で、楽しくて、良いチームメイトだった」

同じクラスになったことはないけど、部活で会えば分け隔てなく接してくれる彼が好きだった。

意地悪だけどちゃんと教えてくれるし、練習にも付き合ってくれた。
フレンドリーな川村は、本当に大事な部活仲間で、友達だった。

「大晦日の日も、休みなのに公園で練習に付き合ってくれたの」


日が暮れるまでボールを追いかけた。
疲れたねって笑いながら、ホットココアを飲んで休憩をした。

せっかくだから一緒に二年参りして行こうよって誘われた。

他愛もない話をしながら出店を回って、新年を迎えるのを待ってたの。


『…ここさ、新年迎えた時に花火上がるの、ちょうど綺麗に見えるんだよね』

朝焼けも結構綺麗だよって、丘まで連れてきてくれて鼻と頬を真っ赤にしながら教えてくれた川村。
そうなんだ、とまだ真っ暗な景色を見つめていたときに、突然唇になにかが触れた。

『…好きだよ』

何が起きたのか分からなかった。

ちょうど新年の花火が打ち上がったとき、見えたのは私を見つめる川村だった。
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