十人十色の十恋物語<短編集>
早紀は、
ただ今片想いをしちゃってます。

毎朝会える恋しい人のために、
朝からシャワーしちゃうくらいです。

相手?
瓶覗さん。
恋しい人のことで知ってるのは、
名前と職業だけなんだけどね。
まあ、知ってることがあるだけいいよね?


田舎の駅だから
電車がくる15分前にしか改札開かないんだよね。

でも恋しい人が改札あけてくれるから、
イライラしません。
とっても幸せな時間なんだもん。


「 おはようございます。
あれ?今日から冬服なんだね。 」


きゃぁ、
私のこと見ていてくれたのですか?

なんて幸せなことでしょう?

この幸せな瞬間、
私は幸せすぎて何も出来そうにないですわ。

もうドキドキが止まりませんわ!


「 定期落とされてますよ。
えん…たん…さきさん? 」


は?


「 はい、私です。 」


恋しい人が
私のパスケースを持っているなんてステキすぎる。


「 キミ、鉛丹さんって言うんだ。
落とし物したらダメですよ。 」


「 はい、気を付けます。 」


このパスケース一生使います。

恋しい人が触れたものだから。

今日は朝から
幸せパワー全開です。
< 29 / 52 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop