十人十色の十恋物語<短編集>
「 あっ、玲音くん。
今日は友達と宿題しようとして連れてきたけどいいよね? 」


「 いいよ。
リビング使いなエアコンつけて…どうぞ。 」


私の後ろからヒョイと顔を出した、沙良ちゃん。


「 はじめてまして、
常磐沙良です。
オジャマしますぅ。 」


「「「 いらっしゃぁい 」」」


三人の声がキレイにハモっていた。


玲音くんも含めて男性三人は、
沙良ちゃん登場にニカニカで…
なんだか私一人ぼっち。

確かに沙良ちゃん可愛いからこうなることはさぁ、
私だってわかっていたけどね。


私さぁ、利休さんが好きなの!

でも、沙良ちゃんのこと利休さんが好きになっちゃったりして…
私がブルーになってしまった。


「 弥音ちゃん、ショートケーキだよ。
先に生クリームなめちゃう? 」


利休さんの声に
自分勝手なことでブルーになっていたけど


「 うん!
なめちゃおうかな? 」


沙良ちゃんがいるのに、
利休さんの言葉で上機嫌。


「 あっ、沙良ちゃん。
みんながケーキ作ってくれる間に宿題やっちゃいましょう。 」


リビングのテーブルに宿題を並べだした私に


「 弥音ちゃん、宿題は明日にしてさぁ。
みんなでケーキ作ろう!
楽しそうだもん。 」


私は沙良ちゃんの言葉に宿題をバッグに放り込んで、
キッチンのすみにかけてある私のエプロン二枚を取りにいき
沙良ちゃんに手渡した。


私が利休さんを好きだというのは、
自分で隠してるつもりでもバレてるかもしれない。


私と利休さんを見ていた山鳩さんが


「 ここは春陽と弥音ちゃんにお願いして、
残りはコンビニに買い物に行きましょう。 」


玲音くんと沙良ちゃんを連れ出して、
ドアを閉めるときに山鳩さんは私にウインクした。
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