十人十色の十恋物語<短編集>
「 実那、
ホントに行きたいところないの? 」
いつもよりしつこい兄に私はイジワルをしてみたくなった。
わざと兄の車が写っていた雑誌を見せて兄の車を指さして
「 私、この海に行きたい!
ここは遠いの? 」
兄は私から雑誌を受けとり、沈黙のまま見ていた。
「 ここは、オレ行きたくないな。 」
「 そっかぁ、
彼女と行ったところには妹と行きたくないよね。
大切な思い出だもんね。 」
私の言葉を聞いてる間、
兄の寂しそうな顔をみたけど…。
私は言い捨てるようにして車イスを自分の部屋に動かした。
途中から兄が後ろから押しているのがわかったから
「 さわらないで!
自分で出来ることくらい一人でやらせてよ。
私は歩けないよ!
だけど、私を甘やかさないでよ。
一生私のそばにいてくれるわけないでしょ?
だったら、
私にできることは一人でやらせてよ。 」
そうでも言わないと私の心はつぶれそうだった。
兄には私にかまわないで、
彼女と幸せになってほしいもん。
私から離れていってほしい。
ホントに行きたいところないの? 」
いつもよりしつこい兄に私はイジワルをしてみたくなった。
わざと兄の車が写っていた雑誌を見せて兄の車を指さして
「 私、この海に行きたい!
ここは遠いの? 」
兄は私から雑誌を受けとり、沈黙のまま見ていた。
「 ここは、オレ行きたくないな。 」
「 そっかぁ、
彼女と行ったところには妹と行きたくないよね。
大切な思い出だもんね。 」
私の言葉を聞いてる間、
兄の寂しそうな顔をみたけど…。
私は言い捨てるようにして車イスを自分の部屋に動かした。
途中から兄が後ろから押しているのがわかったから
「 さわらないで!
自分で出来ることくらい一人でやらせてよ。
私は歩けないよ!
だけど、私を甘やかさないでよ。
一生私のそばにいてくれるわけないでしょ?
だったら、
私にできることは一人でやらせてよ。 」
そうでも言わないと私の心はつぶれそうだった。
兄には私にかまわないで、
彼女と幸せになってほしいもん。
私から離れていってほしい。