十人十色の十恋物語<短編集>

「 弥音にも女の子が生まれたら同じことしてあげてね。
ママもママにしてもらってたからね。
雨水にお雛様飾るとね
その女の子には
良縁に恵まれるって言われてるのよ。
だからママはパパと出会えて結婚できたのよ。
弥音にも
ステキな人と出会ってほしいから…
ママが出来ることはしてあげたいからね。 」



「 ステキな話だね。
今大好きな人がいるから…
その人とずっと一緒に居られるように
お願いしながら飾ろうっと! 」



「 そうね。
弥音の大好きな人が
良縁であるといいわね。 」



三人官女
五人囃子
嫁入り道具

ひとつひとつに意味があると
ママが毎年教えてくれる。
全部おぼえていられるかな?



「 ママ…
弥音に女の子生まれたら、
また教えてね。 」



ママは嬉しそうに
そしてちょっと寂しそうに微笑んだ。


昔から伝わっていることって、
きっと正しいような気がする。
古くさいなぁと思ったりしたこともあるけど…
大人に近づくにつれて
すべてに意味があると知った。



「 ありがとうママ。
私はママの娘に生まれてきて良かった。
これからもよろしくね。 」



ママは
うるうるした目で
私をみつめて抱きしめてくれた。




2013/02/18


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