十人十色の十恋物語<短編集>
もう一度
雨の日に流した涙を思い出して…
何事も終わりがあるんだよ。
だから
何か始まることを恐れていては
いけないんだよ。
本当に大好きな人に
自分から別れを告げて
一人の時間を過ごさなきゃいけないってことを
知らなかったわけじゃないんだけど…
こんなにも
ポッカリと穴があいたようになるなんて
この年齢になって初めて知りました。
桜がキレイに咲きだして
今年は一人で見上げる空
何を見ても
何処に居ても
大好きな人のことしか考えられなくて
心は
今日も
さ迷い続けている。
「 来年も一緒に桜みようね、約束だよ! 」
後ろから聞こえてきた
可愛らしい声に
私は振り返った。
あの子は
去年の私かもしれない。
明日のことも考えないで
出来ない約束をしていた。
芽吹!
今なら私素直に
さよなら
言えたかもしれない。
かわいくないこと言って
芽吹が困るのを楽しんでいたんだから
ごめんね
大好きなのに
もっと芽吹に私を大好きになってほしかった!
それだけだったのに…
去年の私は
二人は永遠だって思っていた。
二人の未来が永遠なんてわからないのに
そんなことにも気がつかない
子供すぎた私。
突然の強い風に
桜がハラハラ舞い落ちて
それは桜の雨のように
私の髪に肩に降ってくる。
「 来年も
例え一人だったとしても
桜見に来るね。 」
私は空を見上げてつぶやいた。
ねぇ、芽吹。
今は無理かもしれないけど
この先に
友達に戻れるとしたらね
この桜の雨の中
お互いの好きな人の話とかしながら
そして
その先に親友になれたら…
いいな。
なんて
出来ないことを考えている。
桜の雨が
私の心にまで降っていて
ありがとう
って
今度会えたら伝えたくなった。
桜の雨
心まで染み込む優しい雨だね。
2014/04/07