十人十色の十恋物語<短編集>

人を愛するって何だろう。
どういう意味なんだろう。


私はきっとね
愛するっていう意味を
全く知らずに
愛されることばかり願っていたのかもしれない。



[ 東雲さん、いつでも笑っていてね。 ]



私はこの言葉に支えられて生きてきた。

それに
この言葉を勝手に恋というモノになるって思っていた。



「 栞楠、どうした?
心ここにないって顔だなぁ。 」



「 麻美ちゃぁぁん、
私の心はここにありまぁぁぁす! 」



ムリに作る笑顔が
自分でも笑っちゃうくらいになっていてさ、
それがきっと
回りからみるとイタイだろうなぁ。



「 そう言えば!
あの事件から栞楠を見ても
憲房くん見なくなったなぁ…
元気にしてる? 」



「 なんで私に聞くの? 」



「 なんとなく
栞楠なら知ってるかなと思っただけ
気にしないで! 」



そうなんだよ、
私だって元気か聞きたいよ。

あれからお礼に食事に誘ったけど…
気にしないでいい!と
言われて断られちゃったし…


きゅん!
とした気持ちを私は
進ませたかった絶対に!


私は今日も憲房さんとの恋を妄想して生きてる。
だってさぁ
[ 東雲さん、いつでも笑っていてね。 ]
って
これは恋でしょ?
恋に決まってるはず。



「 あっ!憲房くん!! 」



教室の窓から見えた愛しい人の姿。
私の声に気がついて手を振ってくれた。
私もとびっきりのスマイルで手を振った。



「 あっ、
東雲さん久しぶり! 」



同じように私に手を振ってる人がいた。
その姿をみて…。


妄想は妄想でしかないんだな。


愛する意味も知らないで
愛されることを願っていた。



「 東雲さん、
笑ってるね、良かった。 」



その女性は
憲房さんの手を軽く触ってから
私を指さしていた。



笑ってないよ、私は!
ちゃんと見てよ!
って言いたかったけど…


まっ、
私、まだまだ妄想します。
しまくります!


終わった恋?に
次にむかって妄想します。



「 麻美、
今日、食事おごってよ!
ねっ! 」





end



2015/01/28

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