十人十色の十恋物語<短編集>
「 璃寛、放課後に職員室まで持ってきなさい。
待ってるから。 」


とりあえず納戸先生が遠くなったのを安心した。


「 さつき、放課後までに終わるの? 」


そうだよ。
終わるのかなぁ?


「 月美、手伝ってくれる? 」


「 休み時間くらいならね。
放課後は睦くんと帰るからムリだけどね。 」


「 親友より男をとるんだ。 」


「 はぁ?
自分で宿題してこなかったくせに、
そんなこと言っちゃうわけ?
じゃぁ、手伝わないからね! 」


自分の席に戻ろうとした月美の手をつかんで


「 月美さま、
さつきの今週分のお願いです。
手伝ってください。
よろしくお願いいたします。 」


やはり私よりもおりこうちゃんな月美は、
ちゃんと教えてくれた。
朝からいっぱい頑張った。
でも、私の学力…あと半分のところで


「 睦くん迎えにきたから私帰るね。
さつき、ここまでしか出来なかったって言ってさぁ。
素直に謝っちゃえば? 」


月美は私の気持ちも知らないで。
なんで私が納戸に謝らなくちゃいけないわけ?

そうか…そうだ!
私は、わからないんだもん。
それは教師の責任だよね?
教えかたに問題ありなんじゃないの?

だから、
ここまでにして職員室に行っちゃいましょう。

そうです。
出来ないものは出来ないのです!
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