~チョコレート~奈美
私は悠君を見た。
うそだ…
悠君が私をすきなんて嘘だ…。
だって、悠君は人気者だし…
他に悠君のことを好きな人なんて
たくさんいるのに…。
「どうして…? なんで私なの?」
「屋上で…泣いてた後…」
悠君はゆっくりと話し始めた。
「あんなに屋上で泣いてたのに…
あんなに辛いことがあっても奈美は…
教室に戻ったら辛い顔ひとつもしないで笑ってた。」
「…」
「俺がいじめやめろっていったときも、
ありがとう。って笑ってくれた。」
「俺…奈美が毎日負けずに学校来てんの見て
俺だって頑張らなきゃって思えた。」
「うん…。」
涙が止まらない。
悠君は私をみてくれていたんだね。
「悠君…。」
「なに?」
「ありがとう。」
「俺はなにもしてないよ。」
「悠君だけは私を守ってくれたら…
だから負けずに来れたんだ。
ありがとう。」