~チョコレート~奈美
悠君は私のほうに駆け寄ると
すぐに紙袋に気がついた。
「なに?」
「あのっ…。」
とまどう私をニヤニヤしながらみてる
悠君。
「ん?」
わかっているくせにわざとに知らんぷりをする悠君。
そんな顔つきにもキュンとしてしまう。
「これ…。」
私は紙袋を悠君のほうへ出した。
「俺に?」
嬉しそうな顔と少し驚いた顔をして
私に言った。
「一生懸命…作ったから…」
私は緊張で乾いて声が出なかった。
でも悠君は
私を優しい目で見ている。
他の人みたく遅いからって怒ったりしない。
「食べてください…っ!」
最後まで言い切って
私は
階段のほうへと走った。
言えたよ…
悠君に
やっと伝えられた。