~チョコレート~奈美
スキとは言えなかった。
けれどきっと悠君ならわかってくれる。
ちゃんと本命っぽくしたし…。
私は教室の戸をあけた。
…
悠君の机にはたくさんのチョコが置いてあった。
少しそんな気はしてた。
誰にでも優しい悠君はみんなから好かれる。
本気で悠君を好きでいるのも
私だけじゃない。
私のチョコなんて…
悠君のファンの中のひとつなのかな…?
そんなことを思いながら
私は席についた。
悠君が入ってきた。
みんなは紙袋がだれからもらったのかと
悠君に問いただす。
悠君は私のほうを向いて
にこっとはにかんだ。
やっぱり悠君の笑顔は
暖かくて誰よりも優しい。
私と目があってるのに気がついたクラスの男子は
嫌な顔をした。
「あいつからのチョコなんてもらうなよ。あんなにおとなしい子が悠に?」
呆れながら笑いながら一人の男子が悠君にいった。