真紅の世界
未定



それなのに。世界が違うとはいえ同じ“人”なのに。
私は差別の言葉を、差別とも思わないでいたなんて。




ウメさん、……ウメさん。


ごめんなさい。


ごめんなさい。





何度心で謝ったって、きっとウメさんには聞こえない。


私がいなくなった世界で、ウメさんはどんな思いをしているんだろう。


チビたちはちゃんとやっているんだろうか。



急にいなくなった私を、人を思いやれなくなってしまった私を、一体どう思っているのだろうか。






ぐるぐる、取り留めのない想いばかりが渦巻く。
その瞬間、黒い点が生まれたようなイメージが何故か脳裏に浮かんだ。


その点がどんどん身体の中で膨らんで。

視界はチカチカ黒く点滅して、身体が震え始める。



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