真紅の世界


本当にこの扉の向こうにレティがいるのだろうか。

知らない世界の、知らない場所の、知らない扉。
さっきのこともあって、いつ自分の身に危険が及ぶのかも想像できないこの世界。
知らない場所に行くのには、ものすごい不安が襲ってくる。
それでもシンクがここだと教えてくれたのだから、ここにいるんだと自分に言い聞かせて、もう一つの扉の方へと向かう。


ドアノブに触れて、さっきと同じように少しだけ開ける。
すると、わずかな隙間からあの金髪の柔らかな長い髪が見えた。私は衝動のまま勢いよく扉を開けて、その中へと飛び込んだ。


「レティ!!」


こちらに背を向けていたレティを後ろからギュウっと抱きしめて、それからその身体を180度回転させて真正面からレティと向き合う。

真っ白なすべすべの肌に少しも傷はないし、驚きに目を見開いているレティに恐怖に怯えている様子もない。


「よかった! レティ無事だったんだね!」


今度は正面から抱きしめる私に、レティは困惑気味に口を開いた。


「サ、サラ、どうやってこの部屋まで来たの!?」


初めてこの場所に来たはずの私が、ここまでこれたことが不思議なんだろう。


だからさっきまでのことをかいつまんで説明した。

部屋に真っ黒な生き物がいたこと。
その子にシンクって名前を付けて、ここまで連れてきてもらったこと。


でもレティが不思議に思っていたことはそんなことじゃなかったらしい。


「この部屋に入るまでに3つ扉があったでしょう?」


その問いかけに頷く。

私がいた部屋から出るときに一つ、この部屋に入るまでに2つあったから、確かに合計3つだ。

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