真紅の世界
「最初に説明した。 二度は言わない。 夜は実験をし、午前中はレティ様のお相手、午後は魔法の勉強、食事はレティ様が一緒にとられたいそうだからご一緒しろ」
ウルの説明の間にも、部屋のありとあらゆるところから、堪えきれない悲鳴や轟音、うめき声が絶えず聞こえてくる。
大きな体育館くらいある広い場所は、目を開けていられないくらいの地獄絵図だった。
外はあんなに緑豊かで素敵な国なのに。
レティはあんなに素直でいい子なのに。
そんな国の地下ではこんなことが行われているなんて。
そんな場所に、自分がいることを信じたくなくて、涙がボロボロ零れてくる。
私はただの女子高生なんだってば。
魔法なんて知らない。
使い方なんてわかんない。
こんな場所知らないし、元の世界に戻りたい。
魔法が使えるなら、元の世界に戻りたい。
「泣いても状況は変わらない。 始めるぞ」
無情に現実を突きつけたウルは、言うなりかざした手から光を放って私に向かって放出した。
さっきアレンにされた時のように、吹き飛ばされはするけどやっぱり光に包まれて痛みもなにも感じない。