真紅の世界
次に目が覚めたのは、ここにきて最初に目覚めた部屋。今度はベッドの上だった。
そしてあの時と違うのは、目の前に見下ろしてくる大きなスカイブルーの瞳と、顔にかかる金色の柔らかな髪があること。
「お寝坊さんね、サラは」
ふふふ、と微笑みながら私の顔を覗き込んで頬をつついてくるレティは無邪気そのものだ。
ウルが言っていた通り、地下での行いもウルがされていることもしていることも、本当に何も知らないんだろう。
そんな無邪気さを守ってあげたいという気持ちと同時に、どうしようもない怒りが湧いてくる。
私があんなに酷いことをされてるって、知ってる?
……言いたくなる。
でも、そんなこと言えないし、レティに非はないのだ。
身体を起こしながらレティにおはよう、と言えば満面の笑顔でおはようと可愛い笑顔。
「サラ、今日からずっと一緒にいてくれるんでしょう?」
「う……ん、ウルが、そう言ってた」
「あら、ウルにも会ったのね。 ウルはお兄様の護衛の一人なのよ」
腕を動かしても痛みは全くない。
刺された脇腹も、足も、腕も、痛みは全くなくて、魔法の凄さを感じると同時に恐ろしくなる。