真紅の世界
「お兄様が、私とサラを一緒に過ごせるように取り計らってくれたのよ。午後のお勉強も一緒だなんて、私すごく嬉しい!」
私の手を取り花のように笑うレティ。
その笑顔が眩しすぎて、でもその眩しさを疎ましく感じてしまう私は、やっぱりただのしがない女子高生だ。
はいそうですか、とこの状況を受け入れることもできないし、かといってこの状況をレティに話す勇気さえない。
話したらどうなるかを考えただけで、治ったはずの傷がうずく。
「サラ、ドレスに着替えたら?」
その言葉で、私があのパジャマじゃなくて、下着姿だったことに気付いた。
傷を治すときに脱がせたのだろうか。
あんなことされて今更恥ずかしいとかは思わないけれど、あれはみんなから貰った大切なパジャマだ。ボロボロでもなんでもいいから返してほしい。
今夜ウルに聞いてみよう、と決めてドレスじゃない軽装をレティに頼むことにした。
「Tシャツとジーパンとかってある?」
「……えぇと、それは何かしら?」
私の言葉に少し考えるしぐさをしてから、「どんなものか教えてくれれば似たようなものを探させてみるけれど」と、困ったように笑うレティ。
「あー……、えっと、ドレスは着たくないからもっと動きやすい服ってあるかな?」
困りながらもなんとか着たいものを簡単に頼めば、レティはにっこり頷いて、扉の向こうに控えていた侍女に服を頼んでくれた。