真紅の世界



「ねぇ、テーブルマナーとかってあるの?」

「もちろん、王家の人間や階級が上の人間は幼いころからしっかり教えられるわ」


テーブルマナーっていうのは言葉としてあるんだ。



「じゃあ、砂糖とか小麦粉とか醤油、塩に油にスカートにドレス、シャツにパジャマ、これってこの世界にもある?」

「砂糖に小麦粉、塩に油は調味料よね。 スカート、ドレス、シャツは洋服だと分かるけれど、ショウユとパジャマは聞いたことないわ」


なんでそんなこと聞くのだろう、という顔をしながらも答えてくれるレティ。


なるほど、ある程度の言葉はここでは普通に使われてるってことだ。

醤油が分からないってことは、日本文化独特のものは完璧にこの世界じゃ、ないってこと。パジャマが分からないってことは、昔の西洋文化だと考えればいいのだろうか。


なんとなく掴めてきた。



「私の世界で使っていたものの名前は、そのままなのか聞いてみただけなの」


怪訝そうな顔のレティに、質問の意図を明かすと納得したようにうなずいて、「もっとたくさんこの世界のこと聞いてね」と言ってくれた。

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