真紅の世界


私は、この世界でも一人ぼっちだ。

あっちの世界でも、家族と言える人はあの施設の人しかいなかったのに。
その家族でさえ今はそばにいない。
もう会えないかもしれない。

ずっと一人のまま生きていくしかないのかもしれない。

そう考えて、とても怖くなった。
言葉じゃ言い表せないほどの恐怖。


それは孤独だったり、不安だったり、いろいろな負の要素が折り重なってできた恐怖だけれど。
アレンを前にした恐怖より、あの地下室の出来事より、とても怖くて仕方がなかった。


元の世界に戻る方法が分からない限りは、私はずっと独りなんだ。
この場所にいる限り、この辛い境遇で生きていかないといけないんだ。






「サラ?」


その声にレティの方を見れば、きっと何度か呼んでいたのだろう不安そうな顔をしたレティが私を見ていた。


「ご、ごめん。 ぼーっとしてた」


誤魔化すように笑ってみても、レティはつられて笑ってくれない。

のほほんとしているようで、どこか鋭いこの国の王女様には私が何か考えていたことはお見通しだったんだろうけど、レティは突っ込んで聞いてくることもなく「そうなの」と微笑んでくれる。



その優しさがとても嬉しい。



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