真紅の世界

ふよふよと漂うシンクを、ゴロンと横になりながら眺める。


「シンクは、ずっと私と一緒にいてくれないの?」


あまりに自分勝手な願望をつい言葉にしてしまって、言ったそばから後悔した。
こんなあからさまに“さみしい”と言っているみたいな言葉、ウメさんにだって言ったことがないのに。

どうしてシンクに対しては素直に口にしてしまったんだろう。
不思議に思いながらも、それはシンクがこの世界では一番裏もなく優しくしてくれている存在だからだとすぐにわかった。

そんな私にシンクは申し訳なさそうに「キュイ……」と鳴きながら瞬きを一度した。


「でも会いに来てくれる?」


瞬き一回。


「今更だけどシンクって男の子?」


二回瞬きされたらどうしようかと思ったけれど、返事は瞬き一回だった。


「実験とか、地下室とか、アレンとか、こわいこといっぱいだけど……私頑張ってみる」


それはシンクに言っているようで、自分への再度の誓いだ。

シンクは証人。

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