真紅の世界
唖然とそのシンクの変身を間近で見ている私の目の前には、いつの間にか一人の男が立っていた。
腰まである長い漆黒の髪を一つに纏めて、シンクと同じ真紅の瞳を持つ男の人。
背は私より頭二つ分くらい高くて、その真紅の瞳が優しく私を見下ろしている。
アレンと同じような軍服を着ているけれど、服も靴もマントも全て真っ黒で、ボタンや装飾も黒で統一されている。
……だからシンクは真っ黒だったのか、となぜか私は目の前の男がシンクなんだと理解していた。
「サラ、我が名を呼べ」
「へ?」
このイケメンと言える顔で“キュイ”と鳴かれるのも変だけれど、当たり前のように言葉を話せることにビックリした。
そしてその言葉の内容にも。
だって、その言葉って。
「……シンク、だったの?」
ずっと私を呼んでいたのは。