惑溺
「……俺が酒にへんな薬でも混ぜたと思ってんの?」
まるで軽蔑するように冷たい視線で私を見下ろしながら、短く息を吐いて笑った。
だって。
だって、私おかしいよ……
彼氏がいるのに、プロポーズされたのに。
出会ったばかりで何もしらない男に、こんなにも欲情するなんて。
「……自分の欲望を、俺のせいにすんなよ」
私に向かって吐き出された、その低く冷たい声にゾクリとする。
私、どうかしてる……
体が熱くてたまらなかった。