惑溺
 

ぐらりと足元の地面が揺らいだ。

今更になって、後悔が私を襲う。

出会ったばかりの何も知らない男に抱かれて
相手が誰かも知らないまま雰囲気に流されて
刹那の快楽に溺れた馬鹿な自分。

もう会うこともないんだからと全て忘れたふりをして
なかった事にしようとした浅はかな自分。

そんな自分の愚かさに眩暈がした。



ねぇ、リョウは知っていたの?



私が聡史と付き合ってるって。
自分の担任の婚約者だって。

はじめから知っていて



知っていて、私を抱いたの……?



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