惑溺

　
「やっ……」

やめて、離して。お願いだから……。

リョウの唇から逃れて言葉を発しようと口を開ける度に、またすぐに唇を塞がれる。

息が出来ない
体が痺れる
ゆっくりと、でも強引に彼のキスが私を狂わせていく。

この身体の感覚が敏感になっているのか、それとも麻痺しているのかわからない。
でも狂おしいくらいの熱に、私の中の理性が溶けだして形を無くしていくのを感じた。

唇と唇が触れるたび、熱い舌が口内をなでるたび、ぞくぞくと甘い刺激が体をかけ上がる。


「っ……」

がくん、と膝の力が抜けた。
崩れ落ちた私の身体。
床に膝がつく直前にリョウの腕が私を支え、腰を抱くように引き寄せた。

はぁ、はぁ、と大きく肩で息をする私を見下ろして、悪魔の様な男が優しく微笑んだ。