惑溺
「ん……、やっ……」
細い悲鳴のような私の声は泣きたいぐらい頼りなくて、発した自分の耳にすら微かにしか届かなかった。
窓の外には、深い霧の夜。
深海のような静かで孤独な街。
理性を奪われ感覚を狂わされ、溺れていく身体。
そんな私を見て、リョウは面白がるように唇を歪めた。
「リョウ………やめて、お願い……」
うわごとのように繰り返す弱々しい拒絶の言葉。
固い床の上で、乱暴に服を乱されリョウの与える刺激に体を震わせて、呼吸を荒くしながらそう懇願する私の声は
馬鹿な女の甘えた喘ぎ声にしか聞こえなかった。
「リョウ、お願い……」
熱にうかされたようにそう呟くわたしを見下ろして、リョウが冷たく微笑んだ。