惑溺

「あ、ごめん……。
大丈夫、ちょっと寝ぼけてただけ」

そういいながら、裸の身体をぎゅっと引き寄せ小さくなって自分の身体を抱きしめる。
まだ、昨夜のリョウとの余韻が残る身体。
そんな私を心配してくれる、優しい聡史。

罪悪感が喉の付け根辺りを締め付けて、うまく声が出せなかった。


『そっか。ゆっくり寝て少しは具合よくなったか?』

「うん……」

『そういえば由佳、年末の休みってどうするか決めてる?
二人で旅行でも行かないか?』

「え、年末?」


そうか。もう11月だもんね。
年末の予定をたててもおかしくない時期かぁ。
そう思っていると、不意に部屋の空気が動いたのを感じた。
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