惑溺
「どっかにぶつけて赤くなっちゃったみたいです。
寝ぼけてた時かなぁ。
やだなぁ、そんなに目立ちますか?」
なんて、わざとらしく誤魔化しながら無理やりに笑顔を作った。
「いや、目立つほどじゃないよ。
たまたま目に入っただけだから」
「寝ぼけてたり酔っぱらってたりしたらよくぶつけて痣できるよねー!
あたしもそう。この前飲んでたら足とか腕とか青痣だらけでさぁ」
制服のブラウスをめくり、ひじにできた青痣を見せながらそう言う沙織にほっとしながら相槌を打つ。
「沙織、それ痛そうー。
痣ってなかなか消えてくれないんだよね」
「わかる!
痣はなかなか消えないし、傷の治りとか遅くなったよね!やばいよね」
「お前らなぁ、傷の治りが遅いとか老人かよ」