惑溺
「あんなに尽くしたのに!あんなに貢いだのに!!」
そう叫ぶように言った彼女を軽蔑するような表情でため息をつく。
「俺は貢いでくれなんて、一回も言ったつもりはないけど?
お前が好きでやった事を俺のせいにすんなよ」
冷淡な口調で突き放され、女の子は声を上げて泣き出していた。
「どうせっリョウは、あたしの事なんて最初からどうでもよかったんでしょ?
愛してなんかなかったんでしょ?
あたしはこんなにリョウの事を……」
「そうだよ」
足元で崩れ落ちるようにして泣く女の子を見下ろして、無表情に残酷な言葉を投げ掛ける。
「そうだよ。最初からどうでもよかった。
別に好きでもなんでもなかった。
お前はただ、勝手に俺に寄ってきた都合のいい女だった。
愛もない男に必死で尽くして貢いで、馬鹿な女だって思ってたよ」